第5回 税理士試験合格体験記
税理士試験受験者の皆様、こんにちは。
税理士試験は自分との戦いであり、これに打ち勝てば道が開けます。あと1か月ですが、この1か月を必死に頑張り、1科目でも合格すれば見える景色もどんどん変わりますので、悔いなく過ごしてください。私は社会人一年目で簿記を初めて勉強し、働きながら資格を取得しました。とても長い道のりで、勉強をする間に子供が生まれ、長男は小学校に上がりました。三科目を取得した後、大学院で論文を書き、晴れて税理士登録をしましたが、今回は試験の勉強にフォーカスを当てて体験記を書きたいと思います。
【勉強時間について】
私は仕事から帰ってきて勉強をしたくなかったので、お昼休憩や早朝の時間、通勤時間を使って勉強していました。夜は子供たちと一緒に21時に寝て、朝は4時~5時に起きて、勉強をしていました。簿記論や財務諸表論は早朝に問題を解き、電車の移動時間で財表の理論を暗記、昼休みに早朝解いた問題の答え合わせをしていました。
税法も概ね同じリズムでした。とにかく毎日のリズムを作る、ということを意識して進めていました。また家族がいると、土日いずれも勉強時間に割り当てられないので、直前期以外は土日のいずれか勉強に使い、どちらかは家族と過ごすと割り切っていました。
【直前期について】
全ての科目において、答練が始まってからは自分が上位何%にいるのかを常に意識し、間違った箇所はそのままにせず、なぜ間違ったのかを考え、自分の間違いの癖をつかむようにしていました。私の場合、問題の読み飛ばし、読んでいるのにきちんと読めていない、という点が多かった気がします。そのようなことを防ぐために問題を読む際に問題文にアンダーラインを引きながら読んでいました。
7月に入ってから、あれもこれもやれてない、と不安になることを防ぐために、試験当日までに過去答練・模試などの解き直しをいつやるか、全て1日単位で決めていました。ただ予定通りにいかない日もあるので、できなかった分をリカバーできるようバッファを持たせておくなどしていました。
【本番に向けての心構え】
私は本番に強いタイプではないということがこれまでの経験でわかっていたので、とにかく落ち着いて、本番で90%程度出せればいい、という気持ちで臨んでいました。
当時、名古屋の試験会場は一列の机に2人座って試験を受けるため、隣にどんな人が来るかわからず、またエアコンの隣で寒い、エアコンの効きが悪く暑いといった事も考えられ、外的要因で本番に力を発揮できない可能性があると考えていました。それで力を発揮できないことは避けたいと考えていたため、専門学校の自習室などを利用する際には、独り言をつぶやいている変わったおじさんの隣や、電卓を激しく叩く人の隣に敢えて席を取って答練を解いたり、エアコンの近くの寒いところで練習をしたり、当日どのような状況になっても焦らないように準備をしていました。本番は環境に恵まれ、とても落ち着いて臨むことができました。
【専門学校について】
私はTACのDVDを通学形式で受講していました。土曜か日曜に2コマ受講していましたが、普通に受講すると6時間程度かかってしまうため、録画を1.5倍速で見ていました。
直前期の答練は実際に受験者がいる環境で受けることが重要だと思ったので、対面授業にクラス変更して、答練を受けていました。TACの答練で手一杯ではありましたが、予備校によって問題の癖があるかもしれないと思っていたので、大原の問題集も購入して可能な限り解いていました。
【転職について】
税理士試験を勉強されている方の中には一般企業に勤めながらこっそり勉強をしている方もいらっしゃると思います。私の場合、税理士を目指し始めたころから、税理士ならば現場を知らなければアドバイスができないと考えていたので、営業職から経理職へキャリアチェンジしました(これには、税理士試験に受からなかった場合の保険の意味合いもありました。)。当時はベンチャー企業に転職し、カルチャーショックも多かったですが、経営者の近くで経理以外の経験もでき、今では当時の経験が大変役に立っています。特に経営者が何を考えているのか、税金は会社の中でどのように捉えられているのかなどよくわかりました。
その後に1社を挟んで、MAC&BPへはほぼ未経験で入社しましたが、年上の未経験者にも皆色々なことを暖かく教えてくれ大変感謝しています。
他業種から税理士業界へ未経験で入ることに不安を覚える方もいますが、環境次第では意外と何とかなる、というのが私の印象です。また、一般の事業会社での経験は非常に役に立ちますし、遠回りではありますが、決して無駄にはならないと思います。現在一般企業に勤めてそのうち転職を考えている方は、そのうち転職するから適当に言われたことだけやっておけばいいや~、と考えず、目の前の仕事に一生懸命取り組むことが重要だと思います。ただ、資格は取得してから転職をした方がいいかなと個人的に思います。
また、転職をしたら、とにかく入った環境に馴染もうと努力することは重要だと思います。どこの会社にもその会社の文化があり、それを尊重しながら少しずつこれまでの経験を少しずつ会社に還元する、という方がいいかと思います。会計事務所というと一般企業とは異なる部分が多々ありますが、それはそれで楽しいものです。
私の経験が少しでも受験生の皆様の助けになれば幸いです。努力が実を結ぶことを心から願っています。