相続税の税務調査_ドクター編
最近こんな裁判例がありました。当たり前と言えばそれまでですが、お客様にとっては理解していただきやすい裁判例です。
「相続人名義の預貯金は被相続人の相続財産に含まれる(東京地裁平成26年4月25日)」
問題となった預貯金は被相続人が生前に相続対策として贈与税の基礎控除内で相続人の通帳に預け入れをしていたものでした。
ところが被相続人はその一部を自ら使っていたのです。
結局、裁判所は
1)被相続人自ら通帳を管理していた。
2)通帳の一部を解約して被相続人が使っていた
3)贈与契約書が作成されていなかった
等から贈与の事実は認められないと判断しています。
相続税の調査対象は年間約15,000件、そのうち約8割の申告が否認されています。
相続財産の中には不動産の占める割合が多いにもかかわらず、否認される財産としては現預金・有価証券が多いようです。
そもそも調査の目的は、
生前の所得に比べて金融資産(不表現資産)が少ない人の真実をあばき出すことです。
否認に納得できず、争った場合でも国側が敗訴する割合は数%です。
争わない対応をした方がよいですね。